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フランス海軍:世界初の装甲艦「グロワール」
歴史的背景
18世紀後半から19世紀前半にかけて、ヨーロッパ列強は世界各地で植民地獲得競争を繰り広げていました。その中で、海戦において優位に立つために、各国は軍艦の技術開発にしのぎを削っていました。
クリミア戦争と装甲艦の必要性
1853年から1856年にかけて行われたクリミア戦争において、ロシア海軍は浮き砲台と呼ばれる砲台船を効果的に運用しました。浮き砲台は木造船よりも防御力が高く、従来の木造軍艦に大きな脅威を与えました。
この戦争を契機に、各国海軍は木造船よりも防御力が高い装甲艦の開発に力を入れるようになりました。
世界初の装甲艦「グロワール」
1859年、フランス海軍は世界初の装甲艦「グロワール」を就役させました。グロワールは、以下の特徴を持つ革新的な艦艇でした。
- 船体全体に鉄装甲を施し、敵の砲弾から防御力を大幅に向上
- 蒸気機関を搭載し、従来の帆走軍艦よりも高い速力を発揮
- 36門の大砲を搭載し、強力な砲火力を備える
グロワールの影響
グロワールの登場は、海戦における大きな転換点となりました。各国海軍は次々と装甲艦を建造し、木造船は急速に姿を消していくことになります。
グロワールは、近代海軍の誕生に大きく貢献した艦艇として、歴史にその名を刻んでいます。
グロワールの詳細
- 起工:1858年4月
- 進水:1859年11月24日
- 就役:1860年8月
- 排水量:5,620トン
- 全長:77.8m
- 全幅:17.4m
- 主機:蒸気機関 4,200馬力
- 速力:13ノット
- 武装:36門の大砲
グロワールのその後
グロワールは、1870年に普仏戦争に参加しました。その後、練習艦や港湾警備艦として使用され、1900年に解体されました。